うすいの気まぐれな日記

手話、聴覚障害、マイノリティなどなど

作られた仕組みの中に入るということ

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12月5日水曜日。街の中はクリスマスムードになりつつあります。クリスマスツリーを組み立てるところもちらほら。組み立てることが得意な人は本当に丁寧且つスピーディにできるので感心してしまいます(私はスピーディはあるものの、雑です、ザツ…)。

 

組み立てるといえば、仕組みを作る。「NPOって人を雇用できるの?」と質問を受けることがあります。正解は「できます」。人を雇用できる土台があることが前提ですが、仕組みを作る側に立つといろいろ難しいことも出てきます。でも、人を雇用することは不可能ではなく、可能です。

 

逆の立場だと、雇われる側は「既存の仕組みの中に入る」ということでもあります。すでに作られた仕組みの中に入る。すでに作り上げられた常識で成り立っているところに入る。もちろん、変化がスピーディ且つポジティブな企業であれば、既存の仕組みの中から変化を遂げて働きやすい環境にすることもできます。

 

ろう者の就職活動で、よく話題になるのが「聴こえないと言ったら落とされた」「聴覚障害がある人でも歓迎してくれる企業なのに、いざとなると電話ができないようでは無理と言われた」「人事部は好感触だったのに現場に入ってみると違っていた」などなど。

 

いずれも既存の仕組みから出てくる実態。その既存の仕組みを見てみると、採用する側が聴者であること(マジョリティ)がほとんどです。誤解のないように書きますが、この実態が起きてしまう要因は一概に「採用する側が聴者だから」ではなく、障害があることを否定的に捉えてしまっていること、そして、本人の人格がたまたまマッチできなかったこと、などが考えられます。しかしながら、聴者が作った仕組みの中にろう者が入る場合、働きにくさを感じる要因は「耳が聴こえないから」なのか、それとも「耳が聴こえない人に対して、周りがどのように工夫したら良いか分からないから」なのか。

 

仕組みを変えることを厭わない企業なら、障害を踏まえた上でどのように改善していくか試行錯誤を繰り返します。実際にそういう企業もいくつかあります。

 

既存の仕組みに入ることの選択肢だけでなく、自ら仕組みを作るという選択肢もあっていいはずなのにあまり話題になりにくい。そりゃ、リスクが大きいからなのかもしれません。

 

しかし、聴者が圧倒的に多い社会の中でいつもマイノリティ側が既存の仕組みの中に入らざるを得ない実態を見ていると…なんともいえないモヤモヤ感が。仕組みの中から脱するか、仕組みの中から改善していくか、それともバイタリティ溢れる行動を起こせるかどうか。

 

ろう者自身も人間。リスクを冒してまで成し遂げたいものがあるとしても、そこまで行動を起こすのは厄介なのかもしれません。

 

この話題はまた今度考えてみたいです。