おばちゃんの通訳
3月21日木曜日。周りにはなぜか3月生まれが多いので「ええっと、今日は誰々さんの誕生日で合ってたけ?」と手帳見て確認。おめでとう!
暖かくなってきたので久々に畑作業を。私は写真撮るだけ(不器用なので、隅っこで仕事していた方が生産性が良いみたい)。おじいちゃん、お父さん、孫と言っても違和感ない構成メンバーで畑を耕し、種や苗を植える準備をさくさく。
おじいちゃんが見本を見せ、孫が耕し、お父さんが指示する。そんな場面を見ながら片付けたり写真撮っていたら、孫スタッフが「おばちゃんが呼んでますよ!」。
振り向くと、100m離れていた(実際は50mくらいだけど、心理的には)向こう側に見慣れないおばちゃんが立っていました。
「何しとるばい?」
「あ、今度いろいろ作るんで準備してはります」
「ほほう、何作るのかね?」
「えっと、えんどうとかトマトとか」
「ええなー、頑張ってらっしゃい」
といったような会話を交わしました。
正確には、孫スタッフが通訳していました。まだ20、21歳だし、手話を始めて少ししか経ってなかったものの、作業を中断し「おばちゃん呼んでますよ」と知らせてくれました。
おじいちゃん、お父さんメンバーも、耳が聞こえない。作業に集中していたこと、少し遠く離れていたことで、私たちはおばちゃんの存在に全く気付けませんでした。
そんな状況だったので、孫スタッフがおばちゃんと話をして終わる、ということもできたはず。後になって「おばちゃんが話しかけてきて、こんな話をしました」と話題にできたはず。
それでも。
突発的な出来事にもかかわらず、おばちゃんの存在をろう者側伝えたこと、そしておばちゃんの話と私たちの話を訳したこと。
確かに孫スタッフは通訳できるスキルはまだ身につけていないものの、行動に移したこと自体、久しぶりに感心しちゃいました。
おばちゃんはあの後、「じゃあねー」軽やかな足取りで去っていきました。もし、孫スタッフがいなかったら?
「まぁ、熱心にやっとるわなー」と思ってくれただろうか。それとも「まぁ!なんて奴だ、無視するなんて」。
ともあれ、聞こえた内容をとっさに伝えることはそう簡単にはできないこと。手話通訳は言語間を通訳するだけでなく、双方の行為(文化)を伝え合うことも通訳に含まれています。なので、簡単そうに見えて実は難儀な仕事。
ともあれ(2回目)畑作業の初日は無事終了。おつかれさまでしたー!