うすいの気まぐれな日記

手話、聴覚障害、マイノリティなどなど

失恋から考えた、仕組みを作るということ

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11月5日月曜日。30代前半最後の日。ああ、もう折り返し地点。

たまたま、「失恋」の漢字を見た年配の方から「しつこい」と言われました。し、しつこい?と思わず聞き返しました。

 

年配の方は、ろう者。耳が聞こえません。

「だって、この漢字、しつこいって読むんでしょ?」。

 

失=しつ、恋=こい、ということで「失恋=しつこい」と読んでいました。真顔で。

 

しつこいから失恋する、というのはさておき、こういう場面はよくある話。漢字の読み方を間違えるって、本人は気付かないし、気付きようがない。私もその一人。

聞こえる人でも間違うことはあるけれど、確率的に見たら、ろう者の方が圧倒的に多いかも。スマホで漢字を入力した時に、うまく変換してくれなくて、「あれ、今までの読み方、もしかして間違ってた?」と初めて気付くことも少なくないです。

 

耳に入る情報量を上回る方法なんて無い。もう仕方ありませんのう。

耳が聞こえないってことを割り切る。

 

そして、仕事でも割り切っています。私宛に電話があった時のこと。

相手は私が聞こえないことを知らないで電話かけてくるときがあります。手話や聴覚障害のキーワードを掲げてNPOを運営しているものの、まさか耳が聞こえない人が運営しているとは思っていなかったのか、「え?聞こえないんですか」と反応されることは日常茶飯事。

スタッフのほとんどは手話ができるけれど、電話通訳は年に1回あるかないか。手話通訳ができないというよりは、手話通訳ができるスタッフもいるけれど、緊急でない限り、ダイレクトに連絡し合った方が効率的。

 

LINEやSNSが普及している時代が後押ししているのもあって、メールでお願いするとほとんどが快諾。チャットで対応できるところはチャットで、という風に。

 

それでも「いや、電話で話したいんだから」と言われたのは、意外にも手話関係者でした。スタッフに向かって「手話できるんでしょ。だったら電話で通訳しなさいよ」と。おお、そこまで言っちゃうのか…。

よくよく聞いてみると、電話の相手は、私と同じく耳が聞こえない人、ろう者。日本語を使ったメールが苦手だから、手話で話をして通訳してもらった方がスムーズだからということでした。

 

「それだったらテレビ電話しましょう」ということで、テレビ電話に切り替えました。もともとテレビ電話は苦手だし、時間を取られてしまう感があるので正直やりたくないけれど、日本語が苦手と言われてしまった以上、どうしようもない。案件が進まない。もうテレビ電話しかない、ということもありました。

 

電話しても(判断できる人が)反応してくれない。それならメールで!ということが周囲に浸透してきたのもあり、メールで連絡してくることが増えました。おかげで日程調整や案件の打ち合わせがサクサク進み、記録にも残るので助かっています。

 

既存のシステム(音声言語を中心にした、耳から聞く仕組み)では対応しきれない。だったら、新しいシステムを作っちゃおうということで、もう割り切ることにしました。新しい仕組みを作っている方々にも色々聞いてみたいです。

 

最後に、失恋の話が出ていますが、失恋したとかそういうことはないのでご安心をw