うすいの気まぐれな日記

手話、聴覚障害、マイノリティなどなど

目に見えないものに触れる

f:id:syuwakoushi:20180717122747j:plain

7月17日火曜日。今の事業を始めてから「3連休中にどこかに行く」とは無縁の生活を送っていたけれど、前から予定していた鳥取への旅に出かけてきました。

 

広島、岡山にも近いので今回の災害でどうしようかと思いましたが、地方を訪ねることで経済的な支援が少しでもできたらと思って行ってみました(結局、飛行機からは被災地が見えず、何もできず。クラウドファンディングに寄付しました)。

 

鳥取県は、島根県の右側。ご当地Tシャツに「鳥取県は、島根県の右側です!」というのがあって売れているみたいです。一方、島根県の応援Tシャツは「左側です」と。

beewing.jp

 

鳥取県日本海に面しているので新潟と似た地域。でも、どうやって行くの?

新潟から鳥取までの直行便はないし、鉄道も繋がっているようでちょっと繋がってなさそうだし。ということで、新潟→東京→羽田空港米子空港鳥取→(災害のため、代行バスと鉄道を利用)新大阪→伊丹空港→新潟、というルートに。

 

飛行機、電車に乗る時間があったので本を読みながら過ごしました(これはいつものこと)。今回の旅でチョイスした一冊は、『万引き家族』。ま、万引き?

万引き家族【映画小説化作品】

万引き家族【映画小説化作品】

 

 

タイトルからにして何かと話題を呼んだ映画。

第71回カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞された映画。

 

gaga.ne.jp

是枝監督が自ら書き下ろした物語で、一冊の本になっていました。

個人的には、とても観たかったけど日本語字幕がつくのかどうか分からなく、映画館の空気があまり好きではなかったので、本を読んでみよう!と即購入。

 

後になって分かったのですが、この映画はUDCastの日本語字幕にも対応していました。映画館で見たい方は、何かしらの準備が必要みたいです。詳細はこちらを。

udcast.net

 

事前に映画の予告編を見たので、本の登場人物の顔を思い浮かべながら、本の中にあるストーリーを追ってみました。前半は、万引きという犯罪以外はごく普通の家族の姿が描かれ、後半はそれが脆くなり…。読んでいて、悲しくなるというか、「家族って何だろう」と考えさせられます。

血が繋がっているものが家族とはいえ、心身ともに健康的な生活を送れているかどうかという観点から考えると、家族のようで実は家族とは言い難い現実が所々、起きていると実感させられます。虐待、殺人事件が家族の間に行われていたというニュースも目新しくなくなってきました。

そもそも家族って何でしょう。コミュニケーションが円滑に行われて、その日に起こったことを共有しながら人生を共に歩んでいくというのが家族のあり方だとしたら、この『万引き家族』は、家族として機能できていました。

しかし、万引きは明らかに犯罪。

 

犯罪を犯した点だけで見ると、「この人は犯罪者」という視点になりますが、本人が置かれた背景を知ると、単なる犯罪者として見るにはちょっと違和感を覚えます。

人との繋がりを一つの絆として築いていった過程を辿ると、それこそ本当の家族の姿なのではないか、と思う場面がいくつもあって。犯罪者といえど。

例えば、虐待を受けた時の傷が、他人であるはずの人にも同じ傷があり、共に癒し、そして助け合う、支え合う関係に発展していく場面が出てきます。その時に本人が感じる気持ち、心を想像してみた時に、もうすでにその人は犯罪者としてではなく、一人の人間として捉えている。そうした私自身の行為に、私がどう受け止めて良いのかちょっと戸惑います。

 

人との繋がりって、私はこう思っていても、実は相手にとってはそうでなかったり。こういうのは、よくある話。もっとコミュニケーションを深めていけば分かり合えることもあるけれど、完全に分かり合える繋がりってなかなか無い。それに、当時はそうだったとしても、今になればまた違った感情で受け止められることもある。

人間、なんてわがままなんだろう。その日やその出来事、周りの関わり合う人によって、これまで自分が抱いていた感情が変わってしまうことも(だから、疑心暗鬼とか浮気とか、いつの時代にも起きうるのかもしれません)。

 

でも、どうせなら、人との繋がりを通して目に見えないものに触れた瞬間、何かしらの方法で相手と共有できたら、きっと相手も自分もお互いに生きやすくなるかもしれない。少しでも。

気持ち、想いを言葉にすることがいかに尊いことか。

 

万引き家族』という衝撃的なタイトルではあるけれど、人との繋がりについて考えてみたい、向き合ってみたい人には多分、きっと共感できます。