うすいの気まぐれな日記

手話、聴覚障害、マイノリティなどなど

初めての環境に慣れるまで

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4月2日月曜日。しばらく更新できていなかった…その間に読んでみたのがこれ。日本財団様発行による冊子で、障害者支援施設の取り組みや障害を持つ当事者の視点に立ったコラムなどが掲載されています。

blog.canpan.info

 

ところで、「働く」といえば今日が入社式、仕事始めという方も多かったのでは。

私のところも新しい人材が入りました(もともと年度の途中で入るケースもあり、割と柔軟に対応している職場だと思います)。おめでとうございます。

 

めでたいはずなのですが、この「働く」について考えてみると…。同じ時期に入った同僚と比べたら、もっといろんな面で準備をしないといけないのが、障害を持つ人なのでは。

 

なんだか、この言い方だと「障害者はもっと働けというのか?」と誤解されてしまいそう。分かりやすく言うと「障害を持つ人は、常に何らかの準備をせざるを得ない」状況に置かれやすいのでは、ということです。

なんの準備かというと、気合いはもちろん、筆記用具やハンカチといった普遍的なものから入社する会社に関する資料までいろいろあるのですが、障害を持つ立場(会社の中で少数派)なら、これだけでは足りません。

 

耳が聞こえない立場の場合、あらかじめ周囲に「耳が聞こえません」ということを伝えないといけないので心構えはもちろん、どうやったら「耳が聞こえない」ことを伝えられるかを考えないといけなくなっちゃう。

声を出せばいいじゃない?と思っても、当の本人にしてみれば「声なんか出してもどうせ通じないから、紙に書いて説明しなきゃ」「メールでいいから何とか、耳が聞こえないってことを伝えなきゃ」と、障害について説明するための準備を要する。この時点で、同じ時期に入る同僚と比べて、相当な精神力を持ち合わせていないと長く勤まらないような気がします。

 

もちろん、職種や職場によってはわざわざ障害について伝えなくても、環境次第では「障害」が障害でなくなることも。

特に私の職場は、耳が聞こえる人がそういう立場に置かれやすい(普段は多数派なのに、少数派になっちゃう環境)ので、できる限り「日本語」も使いながら、音声に頼らないで文字に書いたり、メールで共有したりと行なっています。これを、合理的な配慮というらしいのですが、少なくとも私の場合は「一緒に働く以上、本人が分からないままではいけない。本人が分かってから初めて仕事が進むもの」と思っているので、当然のこと。それでもなかなかうまくいかない時ってありますが…。

 

もし、海外旅行や留学、外国人との交流がある経営者ならきっと、これに近い感覚で障害を持つ人と接することができるかも(中には、最初から自然体で誰とも関わりを持てる素晴らしい素質を持った経営者もいらっしゃいます)。

 

初めて入る環境に慣れるまでに要する時間は、千差万別。その上で、マイノリティの立場になる人はいつも少なからず何らかの準備をしている。

そして、この「準備」が何らかの形で報われることがあるよう、私も時々立ち止まって考えてみたいですね。