「ろう者の祈り」が刊行されました。
ツイッター、Facebookでお知らせしていましたが、こちらにはまだアップしていませんでした。
「祈りってなんだか宗教みたい」と思われがちですが、決してその類ではなく、ろう者が聴者とともに働いて社会生活を送る上での実態について描かれています。著者は、耳が聞こえる人で手話とは無縁の世界にいらっしゃったのですが、数年前の出会いをきっかけに手話を学び始めました。
ろう者という言葉に違和感を持つ難聴者もいらっしゃいますが、この本はあくまでも「手話を使う耳が聞こえない人」であり、日本語の壁についても取り上げています。
「これだから、聞こえない人は大変なんですよ」というメッセージではなく、あくまでも音声言語が中心になっている社会の中で、どのように生きているか、どのように過ごしているかを知ることにより、お互いが寄り添って生きていく必要性について語られています。
「障害を持っているから仕方ない」「聞こえないから日本語なんて難しい」「聴者は誰も分かってくれない」とネガティブな発言をしてきた人とたくさん会っていますが、一方でポジティブに生きているろう者もたくさんいます。
聴者との関わりの中で楽しみを見つけて生きている。聴者とかろう者とか区別せずに、対等な関係を築いて生きている。
両者の違いは何か。簡単には語れないほど、生活環境が様々であること、本人と関わる聴者にも様々な背景があります。
それでも、ろう者にとっては、どこへ行っても必ず出会う聴者に対して「関わりができたらいいなぁ」と一度は思っています。どこへ行っても、どこで過ごしても、耳が聞こえる人には必ず出会いますから。
人肌が恋しくなるこの冬に、ぜひ手に取ってみていただけると嬉しいです。
一緒に登場している日本語教師・鈴木隆子氏(テンダー教室)。